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鍼灸の心ここにあり!! 鍼灸の神様「杉山和一」の話

ビファインの思想はここから来た!鍼の神様「杉山和一」

みなさん、「杉山和一(すぎやま わいち)」という方はご存じでしょうか?

鍼灸の事は知っていても、この名前に聞き覚えの無い方はたくさんいるかと思います。

実は、この杉山和一という方は、管鍼法の発明家であり、鍼灸の神様とも呼ばれる、世界で一番初めに視覚障害者のための鍼灸学校を創設した方なのです。

痛がり・恐がりで破門までされた劣等生だった

杉山和一は1610年に伊勢国安濃津(今の三重県)で生まれ、藤堂藩という武家長男でありつつも、幼くして伝染病で失明してしまい、刀を持つことを諦め、江戸で開業する盲人の鍼の医師の元へ入門しました。

ところが、この杉山和一。
生まれついての落ちこぼれで、鈍くさくて、物忘れが激しく、不器用な上に物覚えが悪いときました。

刀から薬箱

さらに困ったことに、当時の鍼はとても太い鍼を使っており、当然痛い。
痛いので、麻酔を使ったり(当時既に麻酔の技術があったというのも驚きですね!)、打鍼法と言ってトンカチのような物で、一気に鍼を打って痛みを減らす方法などを用いる程だったのですが、杉山和一は痛がりの恐がりで、鍼を打つのも打たれるのも、恐くて嫌で仕方がなかったのです。

当然、弟子入りしていた鍼灸の医師からは「こいつはもうだめだ……」と破門されてしまいます。

破門までされた落ちこぼれの杉山和一は、目の不自由な自分が生きるためには、このままではいけないと、芸能の神であり、盲目の守護神であると崇められていた江ノ島に祈願に行くことにしたのです。

杉山和一
患者さんが痛いと言うので鍼を刺せません
師匠
鍼が痛いのは当たり前じゃ! 怖がっていてどうする!
杉山和一
でも患者さんが痛がるのが可哀想で……
師匠
そんな勇気もないやつは破門じゃ!!
杉山和一
神様……

落ちこぼれだったからこそ気づくチャンスがやってきた

一念発起。
江ノ島の弁財天の祠に詣でて、岩屋に篭もり、命をかけた断食修行を行った杉山和一。

ガリガリにやせ細り、フラフラになりつつも修行を行ったその帰り、盲目の彼は石に蹴躓いてしまいます。

その時、たまたま松葉が自分の下に落ちていて、それが刺さってしまったのですが……不思議と刺さったはずの痛みがありません。

実は、刺さった松葉は偶然にも竹筒に入った状態で、その上に自分が倒れ込んだため、真っ直ぐに松葉が自分に刺さり、痛みを感じることがなかったのです。

松葉
杉山和一
筒に入れて鍼を打てば、痛みがなくなるぞ!
そうだ、この方法を患者さんに使おう!!

 

偶然見つけられた管鍼法

このようにして、偶然発見することの出来た鍼の打ち方。
管に鍼を入れて真っ直ぐにして打つ方法を「管鍼法」というのですが、これが今も続く、「痛くない、一般的な」鍼治療法となったのです。

この管鍼法を見つけた話には諸説ありますが、落ちこぼれで、恐がりで、破門までされた人間が神に祈るつもりで訪れた土地で、たまたま発見することができたというのは、偶然では片づけられない何かを感じますよね。

因みにこの発見によって、杉山和一は江ノ島で「鍼の神様」として祭られるようになり、躓いたと言われる石が江島神社参道の途中に「福石」と名づけられて、祭られています。

本所一つ目のこぼれ話

後に、彼は破門した師匠のさらに師匠の息子さんの鍼灸医に入門。
そこで、奥義を会得し、江戸で開業するまでに至りました。

当時、江戸で体調を崩していた5代目将軍徳川綱吉の耳に杉山和一の話が届き、治療をすることに。
すると、綱吉は覚悟していたような痛みもなく、不調だった身体も元気になっていったことに喜び、杉山和一に褒美を取らせることとなりました。

綱吉
ワシのぶらぶら病が治ったのはそちのお陰じゃ、褒美をとらす。
なんでも欲しい物を言え
杉山和一
それでは、お言葉に甘えて……。目を一つで良いのでいただけませんでしょうか?
綱吉
目!?
杉山和一
はい。私は産まれてすぐに目が見えなくなったので、一つでいいので見える目が欲しいのです
綱吉
なんと奥の深いことを……

このような会話があったのか、なかったのかは……定かではありませんが(笑)、杉山和一の腕前に感服した徳川綱吉に、杉山和一が目を欲したのが元で、江戸の本所一つ目という場所に杉山和一は土地をもらうことができたのです。

その土地に杉山和一が立てたのが、日本……いや、世界初の盲人教育の学校「杉山流鍼治導引稽古所」。
そこから、世界に目の見えない人のための学校や、職業訓練所が作られるようになっていったのです。

このルーツを大切にしたいビファイン

鍼を刺すときの痛みが恐くて、可哀想で、落ちこぼれだった杉山和一。

ですが、彼は誰よりも人の痛みに敏感で、繊細だったと思いませんか?

鍼治療に来る患者さんは、大抵が身体も心も弱っていることが多い中、さらに痛い思いをさせたくないという鍼の神様の心。

天才でもない、優秀でもない、ただただ繊細で、「転んだときに偶然に発見した」という、少し神がかったこの話ですが、「患者さんに寄り添う治療を」「患者さんとの信頼関係を」といったことに重きを置くビファインとしては、「患者さんに痛みにない鍼治療を」という彼の意思を引き継いだ治療を大切にしていきたいと思っています!!

こんな鍼の歴史をお伝えいたしましたが、ビファインの代表も大好きな鍼の神様、杉山和一のお話いかがでしたでしょうか?
また、このような鍼灸の深イイお話をお伝えできればと思います。

楽しみにしていてくださいね!!

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