
第5回:「穏やかで幸せな日々」を与えてくれた大学時代
Contents1 アルバイト先で味わった「中卒の劣等感」2 「彼女が短大卒なら、自分は四大卒になろう」3 1...
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高校を辞めてしまい、どこにも所属することのない存在となった私は、迷っていました。勉強ができず、友だちも作れなかった。高校に行けなくなってしまった自分を格好悪いと思っていました。家族には「海外にでも行こうかな」と冗談めかして語る日々。退学を正当化したいと思っていたのかもしれません。
そんな強がりとも、自己欺瞞とも言える冗談が、本当になってしまったのです。
家族は私に、オーストラリアへ行くことを強く勧めました。このまま実家で無為に日々を送らせてもどうにもならないと考えたのかもしれません。あれよあれよという間に話は進み、親が見つけてきた旅行会社を通じてスチューデントビザを取り、渡航することになったのです。
オーストラリアへ着き、現地の日本語学校へ入学。しかしそこにも馴染めず、1カ月で退学してしまいました。そのことを家に電話して報告したら、「いい加減にしろ。もう連絡してくるな」と突き放される始末。いよいよ、行くあてがなくなってしまいました。
さて、どうしよう。半ば開き直りの境地にいた私は、むしろこの状況を目いっぱい楽しむことにしました。時間だけはいくらでもある。持て余した若さと好奇心を、私はオーストラリア放浪にあてることにしました。
大きなリュックサックを背負うバックパッカーの列に並び、長距離バス「グレイハウンド」に乗り込んでオーストラリアを1周。とても魅力的なプランに思えました。
そこで目にしたのは、日本で暮らしているときには知る由もなかった人種差別の実態です。大陸の先住民であるアボリジニに対して、白人は露骨な差別感情を示していました。長距離バスではアボリジニの座れる席があらかじめ決められています。乗り込んでくるアボリジニを見た白人たちは鼻をつまみ、匂いを振り払うような態度を取るのです。
小汚い格好をした10代の東洋人である私も、彼ら白人にとっては似たようなものだったのかもしれません。私はどちらかというとアボリジニの人たちに親和性を感じて、自分から話しかけにいくこともありました。アボリジニの人たちは皆、優しかった。「お前はどこから来たんだ?」と聞かれ、互いにつたない英語ながらも、会話を楽しんだものでした。
オーストラリアでの日々は、私を肉体的にも精神的にもタフに育て上げてくれました。
国内をぐるりと周りながら、気に入った場所が見つかれば何日もそこに留まる生活。特に楽しかったのは、ゴールドコースト観光の拠点として知られ、青い海とビーチが広がる「サーファーズ・パラダイス」です。
自分が言うのもおかしな話ですが、そこには世界中のありとあらゆる場所から、変わった前歴を持つ変わった人々が集まっていました。サーファーズ・パラダイスの人々とはすぐに打ち解けることができ、毎日パーティーをやったり、現地で出会ったベトナム人女性と恋に落ちたりと、ここでしか味わえない青春の日々を満喫していたのです。
刺激的な出会いがあふれている一方で、17歳の日本人の少年に近寄ってくるのはろくでもない人間ばかりというのもまた事実。「大麻をやらないか」と誘われ、わけもわからず付いていって警察に捕まったこともありました。
何もない砂漠で「オパール掘り」をしたこともあります。1泊300円くらいの貧乏宿で出会ったイタリア人のおじいちゃんが教えてくれました。宿泊初日に声をかけられ、ピザとセブンアップをごちそうになり、すっかりそのおじいちゃんが好きになってしまったのです。彼はオパールを掘るために来ていました。
炎天下の砂漠以外にも、過酷な環境はたくさんありました。20キロのリュックを背負い、1日20キロ、最高気温50度にもなるような場所を延々と歩いたものでした。
命の危険を感じたことも。オーストラリア北部の港町ダーウィンは、第2次世界対戦中の1942年から翌年にかけて、旧日本軍の大規模な空襲を受けた場所です。ここを訪れた際には「俺たちの父や母が日本軍に何をされたか知っているのか」と激怒され、ピックアップトラックに乗った若者から猟銃で狙われました。
何者でもない10代の自分に優しくしてくれる人。差別的な感情を露わにする人。あるいは敵意を剥き出しにする人……。さまざまな出会いを通じて「自分は日本人なんだ」ということを強く実感させられました。決してお気楽な旅ではありませんでしたが、気に入らないことがあれば自分の意志ですぐに環境を変えることができました。何だかんだと言ってこの日々を楽しめたのは、その自由さがあったからでしょう。
ずっと日本に帰りたいとは思っていたものの、帰っても居場所がないだろうと情けなくふさぎ込む自分もいました。迷いの中で帰国を決意し、もう一度自分の人生を見つめ直そうとするタフさを、この旅は与えてくれたのでした。
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