アンケート回答 治療法:自律神経

 

【疾患】自律神経へのアプローチ

 

どんな疾患を持った患者さんが来院されたとしても、鍼灸師は、ほぼ100%自律神経が絡んでいると考えても良いでしょう。このページでは、自律神経へのアプローチについてまとめました。

 

自律神経の基礎知識

随意神経系である体性神経系と対照して、不随意である「自律神経系」は循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝のような不随意な機能を制御する。自律神経系はホルモンによる調節機構である内分泌系と協調しながら、種々の生理的パラメータを調節しホメオスタシスの維持に貢献している。

今まで自律Nの作用は、交感Nと副交感Nの作用が拮抗的であると考えられていた。

 

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上図のように、興奮すると一方は鎮まるといったシーソーのような考えであった。しかし、自律神経の働きは必ずしも拮抗的でシーソーの様な働きをしているわけではない。

 

下記のグラフのように一方のみ興奮が起きたり、両方共が興奮または鎮静することもある。

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我々が自律神経にアプローチしていく上で大事になってくるものはバランスである。基本的に副交感Nにはアプローチが出来ない為、狙いは交感Nである。

 

交感Nの最大の受容器である「皮膚」にアプローチすることによりバランスを整える。

 

アプローチ方法は、鍼でもお灸でも、手で叩くでも良い。ただし、この際刺激量に十分気をつけて行う。

 

刺激量:100% … NG

70~80% … この程度で行う。

 

※なんでも症状を取ってしまおうとすると患者は痛みがあれば、痛みがある中でバランスをとっている。

 

 

臨床でのポイント

自律神経失調症、鬱などの患者さんが来院されることは多い。自律神経失調症は交感神経と副交換神経のバランスが崩れてしまい「夜ぐっすり眠れない」「いつも身体がだるい」「めまいがする」など、過度のストレスが原因で身体に異常サインが出てしまっている状態のこと。

 

中国最古の医学書、「黄帝内経」「霊枢」の経筋篇にも、心の病、自律神経の乱れによって、肩凝り、腰痛、身体の痛みが出てくると記載がある。それを取り除くこと、つまり痛みが出ている患部に鍼をすることは自律神経の治療には有効。

 

当院の治療は、患者さん一人一人の身体にあわせて治療法を変えている。オンリーワン療法なので一概にこの穴を使うとは言えないが、自律神経失調症の治療では、患者さんの身体にあわせて治療法を変えることがもっとも大切である。

 

まず、幾つかの治療ポイントを下記に掲載する。

 

冬→夏→冬→夏の順序の大切さ

自律神経は臓器や器官の働きを調整する際に、交感神経はアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質を放出する。アドレナリンには血管を収縮させる作用があり、交感神経の緊張が続くと身体がアドレナリン浸けになり全身で血行障害が起こり冷えへと繋がる。

 

冬:脳神経由来。僧帽筋・胸鎖乳突筋

冷えて身体からアドレナリンを出して脳からやれる

冬場は冷気が下にくるので腰やられやすい。測定からアプローチも良い。

 

夏:クーラーで斜角筋が冷えて硬くなる。

自律神経にアプローチ。

井穴、足裏、陰経アプローチ。

くすぐったい部分、過敏な部分を刺激する。理由は、自律神経失調症で知覚障害が出やすくなる為。

副神経支配の僧帽筋・胸鎖乳突筋にアプローチ

 

  • 手先が暖かくて手首が冷たいのは自律神経の障害。

患者さんの手足の温度を、手の甲を使い確認する。

 

  • 背中の張りがある限りリラックス出来ない

脊際には交感神経管が通り刺激する。背部の張りを確認し、三等分して細分化する。

上三分の一が頸肩、呼吸器の症状が出やすい。

真ん中が消化機能、下三分の一に全身の自律神経。

 

  • 左肩甲骨の動き確認

自律神経症状のある人には「左天宗」は必須。

肩甲骨の動きの悪さ→呼吸筋の前鋸筋にアプローチし肩甲骨の動きを滑らかに(他の呼吸補助筋も合わせて治療)。

 

  • 夜良く眠れない、手足が火照る、下痢便秘、頭皮が臭い、インポテンツ、お腹が痛くなってからトイレにいくのも異常の現れ。

 

  • 中脘~関元が柔らかいのは交感神経の過緊張

 

  • 下腹部辺りが柔らかいのは副交感神経が過緊張

 

  • 生理不順が毎回くるか一回おきか。

排卵が両方ダメか片方かの判断基準になる。

生理痛の時に血海を狙うのは大腿四頭筋の緊張が下腹部にも伝わってお腹にも力が入ってしまうため。

 

四頭筋が緩めば下腹部も緩む。

 

  • 生理痛、不妊症の人は卵巣を治療する。

下腹部を緩ませる。腸腰筋の緊張を取る。

仰向けで下腹部(上前腸骨棘の内側)に超音波又はお灸を当てる。

 

次リョウは子宮に効く。

 

鍼で響かせるとお年寄りでも生理がくるケースがある。

冷え性は自立神経失調。鉄分不足、ホルモンが不足。

交感神経が優位になると体幹部分に血液が集まる。

そうすると手足に血液がいかなくなるので冷えに繋がる。

日頃から精神的、肉体的ストレスが大きい人はなりやすい。

特に女性は筋肉量が少ない為、男性より多い。

身体がリラックスできるように治療する。

頭、背中、呼吸筋、股関節。

ゆったり呼吸ができれば身体もリラックスでき、副交感神経優位状態へと体質が改善する。

 

  • 腎兪コリは副交感神経が優位になっていると出る。

お年寄りの志室の張りは副交感神経が優位な状態が続いているため。

この場合、交感神経優位状態へ身体を導かなければならない。

 

  • 井穴刺絡、井穴の刺激が有効。

井穴は動脈と静脈の吻合部。刺絡によって詰まっている血液を放出する。楊枝で良いので、常に刺激することで交感神経優位状態へ。

 

  • 表情がなくなる人はコメカミにパルス。

表情がなくなってしまう状態はかなり重度のケースが多く、顔面の神経から自律神経にアプローチするという方法。顎がカクカクなるように、上関×下関パルスや、翳風×下関を使い顔面神経パルスで動かす。

 

  • 便秘の人は大腸喩に圧痛が出る。陽谿穴が効く。

寝起きで頭が痛いのは自律神経のバランスの崩れ。

お腹が張る人は交感神経優位。

いつも眠気に悩まされている人は、副交感神経優位。

 

  • 身体を消毒した時に、綿花が茶色く汚れる人は自律神経がおかしくなっている可能性がある。

 

 

自律神経治療 症例

 

患者属性

性別:女性

年齢:38歳

主訴:不眠、頭痛、肩凝り

 

問診検査・治療内容

背部の張り全体的、特に上三分の一に張りが強く僧帽筋、胸鎖乳突筋トリガー関連痛あり、目の奥の痛み。

 

「結婚を機に環境が大きく変わり、ストレスを抱え眠れなくなってしまった」とのこと。話を聞いていくうちに不妊であることも話してくれた。生理は毎月正確にある。会話はとめどなくしていて、常に交感神経が優位になっている状態が続いている様子。

 

腹診では、中脘~関元が柔らかいが、腹部の張りはある。

 

チェックポイントを全て確認の上、自律神経失調症と判断し治療。

 

精神安定の為に、四神総穴、神門、膈兪、心兪、内関、三陰交など取穴。

落ち着いてきたら背部、後頭下筋群、僧帽筋、胸鎖乳突筋を鍼で緩め、まずは頭痛の症状を取る為胸鎖乳突筋はトリガーで痛みの再現を行い頭痛にアプローチする。

 

身体を副交感神経優位な状態へ導くには呼吸を深くする必要がある為、斜角筋、大腰筋に鍼、股関節を緩める。

 

下腹部に灸、血海、内転筋を緩め、眼窩内刺鍼、上下関パルス、失眠穴、湧泉穴、に灸(知覚異常がある可能性があるので、お灸は火傷しない様細心の注意を払う)。

 

完骨に円皮鍼。

 

井穴刺絡、様子を見て、3日に一度の来院治療を推進。

 

執筆者:ビファイン下北沢本院 よしなる

 

 

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